「っあ、悟先輩がいる」

誰かの声に、
私もその方を向いた。

「本当だ~、超格好いいっ
ねっ?茉莉子」

「ぁ…うん!」

高嶺悟…いや、
悟先輩はただの憧れ。

ちょっと前みたいな
有り得ない出来事は全部夢。


そう考えるようにして、
何日経ったのだろう。

最初の方は姿を見るのも辛かったけど、今じゃこうやって話せるようにもなった。



「茉莉子、無理してる。」

そのたびに加奈子の言葉に
なぜか胸が痛むけど。

「何が無理してるのよ~。」

笑いながら窓の外を見た。

汚い色をした曇り空。

なんだか何もかもやる気を吸い取られてしまいそう。