「ケンジくーん。がんばれー。」

球場いっぱいに響き渡るその歓声に、マウンド上のケンジは思わず頭を抱えた。


その恥ずかしそうな顔を、キャッチャーの土門がニヤニヤとしながら覗き込んだ。


「幸せものじゃねえか。」

大きな体躯をユサユサと揺らしながら、土門はそう言って笑った。