何かを見つけたケンジの目は、大きく見開かれたまま一点に釘付けになった。



そこには教頭先生から証書を受け取り、軽く頭を小突かれている少女の姿があった。



「お客さん、バス出ますよ。」


バスの乗り口のタラップに、右足をかけたまま止まってしまったケンジを見て、運転手は怪訝そうにそう言った。



ケンジは一瞬躊躇い前と後ろを何度も見たが、意を決したようにバスに乗り込もうとバスのタラップに右足をかけた。