卒業式の日がやってきた。




あの街路樹も、美しいばかりの桜の花を咲かせていた。


そんな新緑の香りが漂う中、卒業生たちが三年間お世話になった校舎にお別れを告げ、新しい世界へと旅立っていく。



黒い学生服に身を包んだケンジは、卒業生で一杯になった体育館で土門と一緒にいた。



「全員揃うなんて、いつ以来かな。お前ともしばらく会ってなかったもんな。」


土門の声に、ケンジは不器用に頷いた。