受験勉強で苦しむケンジのために、裕美は自分には関係のない勉強を一緒にしてくれていたのだ。



残された母親ががんばっている八百屋が、裕美抜きではやっていけるわけなどない。

それなのに、どうして、普通に裕美が東京の大学にいけるものだと簡単に思っていたのであろう。



ケンジは裕美を抱きしめる腕に力を込めた。