裕美はケンジの仕草に驚いたような顔をしたが、すぐに満面の笑みを浮かべた。


「ううん。なんでもない。」



裕美はそう言って首を振ると、ケンジの胸に飛び込んだ。


「おい、どうしたよ。」


突然のことに驚いたケンジは、慌てたようにそうたずねた。



「大好き。ケンジくん、大好き!」


裕美は、ケンジに抱かれながら、大声で何度もそう言った。



ケンジは困ったような笑顔で、裕美の髪を繰り返し撫でた。