裕美は泣きじゃくる奈央を抱きしめながら、近づいてくる香澄の顔を困ったように見た。


女性にしては長身で大人っぽく見える香澄は、裕美の視線に小さく頷くと、二人の小柄な親友たちの体を、両手でまとめて、ぐっと引き寄せた。


しかしケンジは、二人の体を優しく抱きしめる香澄の口元が小さく震え、そしてすぐにきっと引き結ばれるのを見逃さなかった。



「おーい！！」


そんな四人を呼ぶ声がした。


ケンジが声の主を見やると、ヘッドライトのともった土門の４WDが、公園の入り口に横づけにされていた。



そしてその助手席から、尾上が力いっぱい手を振る姿が見える。


おそらく少し離れたところに住む尾上の家まで、土門が迎えに行っていたのであろう。




四人は、二人のいる車まで走った。