あおいも友達ではあるが、この四人には敵わない。


奈央は昨日も来たこの店の席にすわりながら改めてそう思った。



全員揃ったのを見届けると、ケンジは女性の店員を呼び、赤ワインをボトルで注文した。


やがて男性の店員が、ケンジたちのテーブルにやってきた。


そしてボトルを布に来るんで持ち上げると、五人の目の前で、ワインをグラスにひとつずつ注いでいく。



五人は店員が下がっていったのを確認すると、軽く乾杯をして一口ずつ口に含んだ。


楽しいこの場であるというのに、六人がけのテーブルの席のひとつが空いてることが、奈央の胸を締め付けた。



「なあ、みんな。」


近況を語る仲間たちを遮るように、ケンジは切り出した。


奈央が不安そうに、ケンジの顔を見る。



「どうしたんだよ、一体…。」


そのあまりの深刻な様子に、尾上が思わずそう言った。



「みんな、これを見てくれ。」


ケンジが差し出したノートに、全員の視線が集まる。



ケンジの隣に座った土門は、ケンジの表情を怪訝そうに一瞬ちらりと見ると、ゆっくりとそのノートをケンジの手から取った。