五人は告別式の日以来、初めて全員揃って集まった。



ケンジと奈央は、奈央の職場の傍にあるレストランに着くと、六人がけのテーブルに座って他の三人がやってくるのを待った。


もう六時を回り、外もだいぶ暗くなっている。



「うん。いい店じゃないか。」


入り口をくぐりながら、そう感心したように言う声が誰のものであるか、ケンジには振り返らなくてもわかった。



ケンジは振り返って言った。


「土門。仕事お疲れさん。」


「おうよ。明日から連休だから、仕事片付けるのが大変だったぜ。」


土門はそう言ってケンジの右隣に腰をかけると、ネクタイを緩めて白いワイシャツの一番上のボタンをはずした。



「いやあ、外は暑い暑い。」


そう言って汗を拭う姿を見て、ケンジはにやりとした。


「そうやっているとお前、おっさん臭いな。」


「うるせえや。」


そう言って、左ひじでケンジのわき腹を小突く。



そして、二人は見合って大きな声で笑った。



そんな様子を向かいから奈央は見ていて、おかしくなって噴出した。


そう、この二人のやり取りは、高校時代、はたから見ていて面白かった。


それは今でも変わっていない。