「それにしても、優くんかっこよすぎるよねぇぇ‥♪」
課題を進めている途中で、いきなりちかが"優くん"の話題をひっぱりだしてきた。
「ちか彼氏いるじゃん」
と、ツッコミを入れたのは、真由美。
そう、ちかには彼氏がいる。
「もちろん彼氏が1番だよ♪♪でも優くんは、別!なんたってうちの学園の王子なんだから♪」
「‥よく分かんないなあ‥」
彼氏と"優くん"は別だ、というちかに、真由美は納得がいなかいみたい。
"優くん"は、ここ桜花学園高校の2年生で、王子的存在。短い髪、長いまつげに、すらっとした背、誰に対しても優しくて、頭も良い、運動神経だって抜群‥その上、天使のような笑顔。
まるで白馬に乗った王子様のような人だから、"学園の王子"と呼ばれている。
「でもさあ‥」
真由美は、私に向かって言う。
「ななは本気なんでしょ?ななはどうよ?自分の好きな人が彼氏のいる子にもキャーキャーされるのって」
「?どうともないよ?優くんはみんなのものだし。私には叶わないし‥」
そうなのだ。
私は"優くん"に本気で恋してる。
けど、"優くん"は学園の王子。いつも可愛い女の子達に囲まれてる。
特に可愛くもない、目立たない私にはとても叶う人じゃない。
「ななかわいいんだから〜自信もってよ!」
そう言って、ちかはいつも私を応援してくれてる。
「ななは優くんと一回話したことあるんだし、言えばいいのに‥あのときはありがとうございましたってだけでも」
そう、私は"優くん"と一度だけ話したことがあった。
ここ、桜花学園高校の入学試験当日、受験票を落とした私に、"優くん"は受験票を拾って渡してくれたのだ。
私はその時から、"優くん"に恋していた。


