「本当に、ごめんなさい」
彼女への謝罪。
それこそが、まず私が彼女にする事だったのだ。
数秒間の沈黙が続いた後、部屋の扉が開いた。
部屋から出て来た由佳先輩は、今にも泣き出しそうな目で私を見ていた。
痩せこけた頬や腕が、とても痛々しい。
彼女は震えた声で嘆く。
「天道……どうして、あんたは、そんなに優しいの? 可笑しいよ。私は、あんたにあれだけの事をしたんだよ?」
「どうって事ないですよ。私には、バスケ以外にも道はあるんです。勿論、由佳先輩も」
私は彼女の痩せ細った体を優しく抱いた。
あの時、由佳先輩は悩み苦しんでいる私を、優しく抱きしめてくれたのだ。
たとえ、それが本心ではなかったとしても、確かに私は元気付けられた。
ならば、今度は私の番だ。
私が由佳先輩を元気付ける番なのだ。
彼女の温かな涙が、胸に沁み込むのを感じながら「ありがとうございました」と言い続けた。
♪
卒業アルバムを閉じ、棚の隅にしまった。
「波乱万丈な高校生活だったなぁ……」
それでも、楽しかった。
部屋の窓を開けると、心地良い涼しい風が頬を撫でる。
その風は、秋の訪れを予感させていた。
「平野、お前がいなかったら、たぶん私は途中で学校を辞めていた。今、私がこうしていられるのもお前のおかげだ」
見上げた雲一つない空は、平野と出会った日と同じ様に青く澄んでいた。
「きっと、上から見守っていてくれてるんだよな?」
彼女への謝罪。
それこそが、まず私が彼女にする事だったのだ。
数秒間の沈黙が続いた後、部屋の扉が開いた。
部屋から出て来た由佳先輩は、今にも泣き出しそうな目で私を見ていた。
痩せこけた頬や腕が、とても痛々しい。
彼女は震えた声で嘆く。
「天道……どうして、あんたは、そんなに優しいの? 可笑しいよ。私は、あんたにあれだけの事をしたんだよ?」
「どうって事ないですよ。私には、バスケ以外にも道はあるんです。勿論、由佳先輩も」
私は彼女の痩せ細った体を優しく抱いた。
あの時、由佳先輩は悩み苦しんでいる私を、優しく抱きしめてくれたのだ。
たとえ、それが本心ではなかったとしても、確かに私は元気付けられた。
ならば、今度は私の番だ。
私が由佳先輩を元気付ける番なのだ。
彼女の温かな涙が、胸に沁み込むのを感じながら「ありがとうございました」と言い続けた。
♪
卒業アルバムを閉じ、棚の隅にしまった。
「波乱万丈な高校生活だったなぁ……」
それでも、楽しかった。
部屋の窓を開けると、心地良い涼しい風が頬を撫でる。
その風は、秋の訪れを予感させていた。
「平野、お前がいなかったら、たぶん私は途中で学校を辞めていた。今、私がこうしていられるのもお前のおかげだ」
見上げた雲一つない空は、平野と出会った日と同じ様に青く澄んでいた。
「きっと、上から見守っていてくれてるんだよな?」

