本当にこれで良いのか、私にはよく分からなかった。
「平野君、大学入試に向けて猛勉強しているらしいじゃない。まあ、入試に間に合うか知らないけど」
投げやりな琴峰の口調に、怒りを覚えつつ、私は込み上げる怒りを抑え続けた。
「あいつは、よく頑張っていますよ」
「でしょうね。良かったわ。あなたのおかげでクラスの問題子がいなくなった」
「……そんな、問題児なんて……」
「あら、言い方が悪かったかしら。でも、あなたのおかげよ。もう、あなたが二年前にした事も、あなた自身の事に関しても考え直さないといけないわね」
由佳先輩……そういえば今はどうしているのだろうか。
「あの……由佳先輩は今、何をしているんですか?」
あの日、停学処分が終わった後に聞いた話では、自分から退学したと聞いているが。
その問いに、彼女の目付きが変わる。
「由佳は……ずっと家にいるわ。あの日以来、由佳は部屋に籠りっぱなし」
私のせいなのだろうか。
しかし、彼女が原因で、私はバスケが出来なくなった。
それを考えると、当然の報いだと思えてしまう。
琴峰は低い声で、何かをぶつぶつと言い始める。
「……全部……全部、あなたのせいよ。あなたのせいで、由佳は! ねえ、これを見てよ!」
そう言って、自分の左腕を私に突き出してくる。
そこには、幾つもの痣があった。
「由佳にやられたのよ! 最近はなくなって来たけど、あの日から、由佳は私に暴力を振るう様になったのよ! それも全部、あなたのせいよ! クラスの問題子をどうにかする!? そんな事、二の次よ! 由佳の事を忘れて日々を過ごしているあなたが許せなかったのよ!」
そんな事はない。
あの日、由佳先輩との一件を忘れた事など、一度もない。
きっと、これからも忘れる事はないと思う。
琴峰は言いたい事を言い切ったのか、肩で息をしている。
やがて、彼女の目が潤む。
彼女なりに辛かったのかもしれない。
「先生……もし、良ければ……今度、琴峰先輩に会わせて下さい。私なら、本人なら何かが変わると思うんです」
どうして、こんな事を言ってしまったのだろう。
おそらく、由佳先輩に会い、二年前の事を清算しなければ、一生その事を引きずって生きて行く事になる気がしたから。
「平野君、大学入試に向けて猛勉強しているらしいじゃない。まあ、入試に間に合うか知らないけど」
投げやりな琴峰の口調に、怒りを覚えつつ、私は込み上げる怒りを抑え続けた。
「あいつは、よく頑張っていますよ」
「でしょうね。良かったわ。あなたのおかげでクラスの問題子がいなくなった」
「……そんな、問題児なんて……」
「あら、言い方が悪かったかしら。でも、あなたのおかげよ。もう、あなたが二年前にした事も、あなた自身の事に関しても考え直さないといけないわね」
由佳先輩……そういえば今はどうしているのだろうか。
「あの……由佳先輩は今、何をしているんですか?」
あの日、停学処分が終わった後に聞いた話では、自分から退学したと聞いているが。
その問いに、彼女の目付きが変わる。
「由佳は……ずっと家にいるわ。あの日以来、由佳は部屋に籠りっぱなし」
私のせいなのだろうか。
しかし、彼女が原因で、私はバスケが出来なくなった。
それを考えると、当然の報いだと思えてしまう。
琴峰は低い声で、何かをぶつぶつと言い始める。
「……全部……全部、あなたのせいよ。あなたのせいで、由佳は! ねえ、これを見てよ!」
そう言って、自分の左腕を私に突き出してくる。
そこには、幾つもの痣があった。
「由佳にやられたのよ! 最近はなくなって来たけど、あの日から、由佳は私に暴力を振るう様になったのよ! それも全部、あなたのせいよ! クラスの問題子をどうにかする!? そんな事、二の次よ! 由佳の事を忘れて日々を過ごしているあなたが許せなかったのよ!」
そんな事はない。
あの日、由佳先輩との一件を忘れた事など、一度もない。
きっと、これからも忘れる事はないと思う。
琴峰は言いたい事を言い切ったのか、肩で息をしている。
やがて、彼女の目が潤む。
彼女なりに辛かったのかもしれない。
「先生……もし、良ければ……今度、琴峰先輩に会わせて下さい。私なら、本人なら何かが変わると思うんです」
どうして、こんな事を言ってしまったのだろう。
おそらく、由佳先輩に会い、二年前の事を清算しなければ、一生その事を引きずって生きて行く事になる気がしたから。

