♪
卒業アルバムの女子バスケ部の集合写真に、私の姿はない。
その理由は多々ある。
体育倉庫での一件で右肩を壊した為、私はバスケ部からの退部を余儀なくされた。
更に、それに続けての停学だ。
学校側が女子バスケ部に探りを入れる内に、真実が徐々に明かされた。
例えば、私に対する濡れ衣。
そして琴峰先輩の素行。
一年の中での虐め。
それを理由に全校生徒揃っての学年集会が開かれた程だ。
その後、由佳先輩には会っていない。
教師から聞いた話によると、私と同様に停学を受けた後、自分から退学したという話だ。
「まったく……私の高校生活はろくな物じゃないな」
どうしてか、今では笑いながらそんな事を振り返れる。
それは、高校三年生の二学期、ようやく彼に出会う事が出来たからだと思う。
いつも悲しそうな表情をしていて、誰かと関わる事を拒み続けて来た少年。
私の知らない間に、彼も一人ぼっちになっていた。
あの日、学校で起こった悲劇。
一人の女子生徒の自殺未遂だ。
その日を境に、彼は心を閉ざした。
誰とも関わろうとせず、人を寄せ付けまいと煙草まで吸って。
そんな彼の心を開きたい。
そう思い始めていた。
♪
「天道さん。ちょっといいかしら?」
三年生の夏休みが終わって早々、クラス担任の琴峰は、私を準備室へ呼び出した。
これと言って、呼び出される理由なんてないのだが……。
「あの……私、何かしましたか?」
「いいえ。そう言う事で呼んだんじゃないの」
「じゃあ、何ですか?」
私の問いに、琴峰の表情に影が差す。
「二年前、一年生の頃の事、覚えてる?」
二年前……おそらく琴峰先輩に関しての事だろう。
「えぇ。まあ」
「大変だったわね。全校集会まで開かれちゃって」
卒業アルバムの女子バスケ部の集合写真に、私の姿はない。
その理由は多々ある。
体育倉庫での一件で右肩を壊した為、私はバスケ部からの退部を余儀なくされた。
更に、それに続けての停学だ。
学校側が女子バスケ部に探りを入れる内に、真実が徐々に明かされた。
例えば、私に対する濡れ衣。
そして琴峰先輩の素行。
一年の中での虐め。
それを理由に全校生徒揃っての学年集会が開かれた程だ。
その後、由佳先輩には会っていない。
教師から聞いた話によると、私と同様に停学を受けた後、自分から退学したという話だ。
「まったく……私の高校生活はろくな物じゃないな」
どうしてか、今では笑いながらそんな事を振り返れる。
それは、高校三年生の二学期、ようやく彼に出会う事が出来たからだと思う。
いつも悲しそうな表情をしていて、誰かと関わる事を拒み続けて来た少年。
私の知らない間に、彼も一人ぼっちになっていた。
あの日、学校で起こった悲劇。
一人の女子生徒の自殺未遂だ。
その日を境に、彼は心を閉ざした。
誰とも関わろうとせず、人を寄せ付けまいと煙草まで吸って。
そんな彼の心を開きたい。
そう思い始めていた。
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「天道さん。ちょっといいかしら?」
三年生の夏休みが終わって早々、クラス担任の琴峰は、私を準備室へ呼び出した。
これと言って、呼び出される理由なんてないのだが……。
「あの……私、何かしましたか?」
「いいえ。そう言う事で呼んだんじゃないの」
「じゃあ、何ですか?」
私の問いに、琴峰の表情に影が差す。
「二年前、一年生の頃の事、覚えてる?」
二年前……おそらく琴峰先輩に関しての事だろう。
「えぇ。まあ」
「大変だったわね。全校集会まで開かれちゃって」

