部屋を掃除していると、高校時代の卒業アルバムを見つけた。
 と言っても、卒業したのは去年の事なのだけれど。
 服や本が散らばった床に座り込む。
「まだ、年も経ってないのに、どうしてだろう……懐かしいな」
 ページを開くと、高校一年生の頃の私の姿が写っている。
 写真に写る私は、今よりもずっと髪が短くて、まだ幼さが残っていた。
 あの日、入学した時の自分を思い出す。
 これからの高校生活に、大きな夢を馳せていた私の姿を……。

   ♪

「凄い! チョー上手いじゃん!」
「さすがスポーツ推薦だな!」
 女子バスケ部で、一年生の活動が始まって早一週間。
 スポーツ推薦でこの学校に入学した私は、先輩達からの注目の的だった。
 コーチから部活終了の合図か掛かる。
 常識として二年生と三年生は、一年生に片付けを任せて帰る事になっている。
 先輩達は、そそくさと荷物をまとめて帰宅して行く。
 それに続いて、コーチも体育館から出て行く。
 体育館の中には、私達一年生の女子だけが残った。
「おい、美羽」
 一人が私に声を掛ける。
 それと同時に、数人が私を中心に円を作った。
 皆、それぞれにモップやバスケットボールを持っている。
「何?」
「あのさぁ、なんかだるいからぁ、これやっといてくんないかなぁ」
 そう言って、モップを私の足に倒す。
「痛っ」
 足の痛みに反応して声を上げると、モップ以外にもバスケットボールやスパイクが私の体に飛んで来た。
 体中が痛くて、その場に蹲る。
 皆はそれを見て嘲笑し、私を置いて体育館から出て行った。
 いつもの事だ。
 こんな事……。
 私は渋々と、散らばった道具を抱え、ぼそぼそと呟く。
「何がスポーツ推薦だ……。私じゃなくて、他の奴がスポーツ推薦だったら、同じ扱いをするくせに……」
 そう、彼女達が私にこんな事をする原因は、ただ一つ。
 私がスポーツ推薦で入学した、という事だけだ。
 恐らく、先輩達や先生のお気に入りにされている私を、妬んで