「あ……えっと、ごめんなさい。凄く良い音が聞こえて来たから」
「ああ、この曲か……」
「この曲の名前、もしかしてホープっていいませんか?」
彼の表情に驚きが混じる。
「え? そうだけど、この曲を知っているのか?」
「はい」
この曲は私と叔母さんで作った曲。
知っているのは私と叔母さん、そして……夢の中にいたあの少年くらいだろう。
「この曲をどこで?」
彼は音楽室の隅に置かれた本棚を指差す。
「この音楽室の本棚の本の間に挟まれていたんだ。たぶん、卒業生の誰かが入れて行ったんだろ。あの本棚は卒業アルバムとかを保管しているから」
もし、ここにかつての私の記憶に関する手掛かりがあるのなら……。
「私、この曲について気になっている事があるんです。だから、えっと……明日もここに来て良いですか?」
「もちろん。放課後は毎日ここでヴァイオリンを弾いているから」
「ありがとうございます!」
ふと、隅に置いてあるグランドピアノが目に入った。
「あのピアノ……弾いてみても良いですか?」
そんな事を聞いていた。
夢の中では弾けていたけれど、自分が弾けるかどうかも分からないのに……。
「どうぞ」
蓋を開けると、白い鍵盤が露わになり、夕日を浴びてオレンジ色に光った。
譜面台には、ホープの原楽譜が置かれている。
鍵盤の上に手を置き、そして指を躍らせる。
どうしてだろう。
手が勝手に動く。
記憶をなくす前の私は、このホープという曲を演奏していたのだろうか。
ここにいる私は、演奏する事に関して頭を使っていない。
ただ、鍵盤の上に置いてある手が勝手に動くのだ。
手が感覚を覚えているとでも言うのだろうか、上手く説明出来ないけれど、そんな感じがした。
演奏が終わると、少年は言った。
「君……本当に……この曲をどこで……」
「この曲は、私と私の叔母さんで作った曲なんです」
「その楽譜がどうしてここに……」
「最近、夢で見るんです。月明かりだけが照らす部屋の中で、私は一人の男の子にピアノを聞いてもらってるんです」
「ああ、この曲か……」
「この曲の名前、もしかしてホープっていいませんか?」
彼の表情に驚きが混じる。
「え? そうだけど、この曲を知っているのか?」
「はい」
この曲は私と叔母さんで作った曲。
知っているのは私と叔母さん、そして……夢の中にいたあの少年くらいだろう。
「この曲をどこで?」
彼は音楽室の隅に置かれた本棚を指差す。
「この音楽室の本棚の本の間に挟まれていたんだ。たぶん、卒業生の誰かが入れて行ったんだろ。あの本棚は卒業アルバムとかを保管しているから」
もし、ここにかつての私の記憶に関する手掛かりがあるのなら……。
「私、この曲について気になっている事があるんです。だから、えっと……明日もここに来て良いですか?」
「もちろん。放課後は毎日ここでヴァイオリンを弾いているから」
「ありがとうございます!」
ふと、隅に置いてあるグランドピアノが目に入った。
「あのピアノ……弾いてみても良いですか?」
そんな事を聞いていた。
夢の中では弾けていたけれど、自分が弾けるかどうかも分からないのに……。
「どうぞ」
蓋を開けると、白い鍵盤が露わになり、夕日を浴びてオレンジ色に光った。
譜面台には、ホープの原楽譜が置かれている。
鍵盤の上に手を置き、そして指を躍らせる。
どうしてだろう。
手が勝手に動く。
記憶をなくす前の私は、このホープという曲を演奏していたのだろうか。
ここにいる私は、演奏する事に関して頭を使っていない。
ただ、鍵盤の上に置いてある手が勝手に動くのだ。
手が感覚を覚えているとでも言うのだろうか、上手く説明出来ないけれど、そんな感じがした。
演奏が終わると、少年は言った。
「君……本当に……この曲をどこで……」
「この曲は、私と私の叔母さんで作った曲なんです」
「その楽譜がどうしてここに……」
「最近、夢で見るんです。月明かりだけが照らす部屋の中で、私は一人の男の子にピアノを聞いてもらってるんです」

