「ハアッ、ハアッ」
隼人君は私を自転車の荷台に乗せ、息を荒げながら、真夏の太陽が照り付ける坂道を登っていた。
息を荒げながら隼人君が言う。
「やっぱり、バスに乗った方が良かったかも」
「ほら、頑張って。学校までもうすぐだから」
ポンポンと彼の肩を軽く叩いてやる。
この坂を登れば、そこはもう学校だ。
夏休みが始まって間もない日、私のかつて住んでいた屋敷に二人で旅行へ行った。
そこで隼人君は言ってくれたのだ。
「また、沙耶子のピアノを聞きたいな」
そう言う訳で、どこかピアノが弾ける場所がないかと探した結果、学校の音楽室が一番良い、という事になった。
歩いて行くのも辛いので、二人で彼の自転車に乗って行く事にしたのだ。
頬を撫でる夏の風は気持ち良いけれど、私を荷台に乗せて自転車を漕いでいる彼は、思いのほか辛そうだ。
「降りて歩こうか?」
「何のこれしき!」
力一杯にペダルを踏み、ようやく長い坂を登り切った。
坂を登り切ったすぐそこには、目的地である学校がある。
校庭では野球部やサッカー部の様な、運動部が声を張り上げて、部活に励んでいる。
隼人君はそれを見て呟いた。
「青春してるなぁ」
「何言ってるの?」
私は隼人君に向けて笑顔を作る。
「私達も充分に青春してるよ!」
「ああ、そうだな」
職員室で許可を取り、音楽室に入った。
隅にはグランドピアノが置いてある。
鞄からホープの楽譜を取り出し、譜面台に置いた。
椅子に腰を下ろし、鍵盤に手を置く。
近くに置いてある教卓に隼人君が座り、私に向けて頷く。
それを合図に演奏を始めた。
誰もいない廊下、教室。
閑散とした校舎にホープの音色が響いた。
隼人君は私を自転車の荷台に乗せ、息を荒げながら、真夏の太陽が照り付ける坂道を登っていた。
息を荒げながら隼人君が言う。
「やっぱり、バスに乗った方が良かったかも」
「ほら、頑張って。学校までもうすぐだから」
ポンポンと彼の肩を軽く叩いてやる。
この坂を登れば、そこはもう学校だ。
夏休みが始まって間もない日、私のかつて住んでいた屋敷に二人で旅行へ行った。
そこで隼人君は言ってくれたのだ。
「また、沙耶子のピアノを聞きたいな」
そう言う訳で、どこかピアノが弾ける場所がないかと探した結果、学校の音楽室が一番良い、という事になった。
歩いて行くのも辛いので、二人で彼の自転車に乗って行く事にしたのだ。
頬を撫でる夏の風は気持ち良いけれど、私を荷台に乗せて自転車を漕いでいる彼は、思いのほか辛そうだ。
「降りて歩こうか?」
「何のこれしき!」
力一杯にペダルを踏み、ようやく長い坂を登り切った。
坂を登り切ったすぐそこには、目的地である学校がある。
校庭では野球部やサッカー部の様な、運動部が声を張り上げて、部活に励んでいる。
隼人君はそれを見て呟いた。
「青春してるなぁ」
「何言ってるの?」
私は隼人君に向けて笑顔を作る。
「私達も充分に青春してるよ!」
「ああ、そうだな」
職員室で許可を取り、音楽室に入った。
隅にはグランドピアノが置いてある。
鞄からホープの楽譜を取り出し、譜面台に置いた。
椅子に腰を下ろし、鍵盤に手を置く。
近くに置いてある教卓に隼人君が座り、私に向けて頷く。
それを合図に演奏を始めた。
誰もいない廊下、教室。
閑散とした校舎にホープの音色が響いた。