美咲のいるクラスは、男子よりも活発な女子の方が多いようだ。
美咲の元へ行き、先程の沙耶子に関する話を持ち掛けた。
周りには、トイレにいた連中が白い目で俺を見ている。
全員が女ながら、どこか怖い。
「美咲、さっきはトイレで何をしていたんだ?」
「……」
「沙耶子が、お前に何かしたのか?」
「……」
美咲は黙ったまま俯いている。
「なあ、美咲。答えてくれよ」
俺を囲む女子の中の一人が言った。
「宮久保が美咲の彼氏を奪ったからだよ」
おそらく、光圀先輩が沙耶子に告白した事か。
噂は筒抜けだった様だ。
しかし、沙耶子は受け入れてはいない筈だ。
「そうでしょ? 美咲」
「う……うん」
美咲は怯える様に頷いた。
「全部、宮久保が悪いんだよ!」
「あの女、マジきもい。美咲の彼氏を寝取ったりしてさぁ」
「え? 寝取ったの!? やべぇ、超ビッチじゃん。きーもーいー」
「そうでしょ? 美咲」
再び問われた質問に、美咲は頷いた。
その瞬間、俺を囲む女子がケラケラと黄色い声を上げる。
「ほら、宮久保が全部悪いんだよ」
「あんた宮久保の彼氏? じゃあ、私達に怒鳴る前に宮久保を怒鳴ったら良いじゃん」
なんとなく分かった。
こいつらは、宮久保を虐める為の口実が欲しかったのだ。
ただたんに、宮久保を虐めたかっただけ。
それだけの為に、美咲を利用して……。
「ほら、さっさと帰れよ」
すぐ後ろの女子が、そう言った。
「帰れよ!」
一人が俺の肩を強く押す。
野球部のピッチャーである俺にとって、肩は命の次に大切な体の一部。
さすがの俺も、堪忍袋の緒が切れた様だ。
低い声で言う。
「てめぇ、怪我したらどうすんだよ……」
「え?」
力任せに、先程から俺を罵倒する女子の一人の顔面に拳を打ち込む。
飛び散る僅かな唾液と血。
美咲の元へ行き、先程の沙耶子に関する話を持ち掛けた。
周りには、トイレにいた連中が白い目で俺を見ている。
全員が女ながら、どこか怖い。
「美咲、さっきはトイレで何をしていたんだ?」
「……」
「沙耶子が、お前に何かしたのか?」
「……」
美咲は黙ったまま俯いている。
「なあ、美咲。答えてくれよ」
俺を囲む女子の中の一人が言った。
「宮久保が美咲の彼氏を奪ったからだよ」
おそらく、光圀先輩が沙耶子に告白した事か。
噂は筒抜けだった様だ。
しかし、沙耶子は受け入れてはいない筈だ。
「そうでしょ? 美咲」
「う……うん」
美咲は怯える様に頷いた。
「全部、宮久保が悪いんだよ!」
「あの女、マジきもい。美咲の彼氏を寝取ったりしてさぁ」
「え? 寝取ったの!? やべぇ、超ビッチじゃん。きーもーいー」
「そうでしょ? 美咲」
再び問われた質問に、美咲は頷いた。
その瞬間、俺を囲む女子がケラケラと黄色い声を上げる。
「ほら、宮久保が全部悪いんだよ」
「あんた宮久保の彼氏? じゃあ、私達に怒鳴る前に宮久保を怒鳴ったら良いじゃん」
なんとなく分かった。
こいつらは、宮久保を虐める為の口実が欲しかったのだ。
ただたんに、宮久保を虐めたかっただけ。
それだけの為に、美咲を利用して……。
「ほら、さっさと帰れよ」
すぐ後ろの女子が、そう言った。
「帰れよ!」
一人が俺の肩を強く押す。
野球部のピッチャーである俺にとって、肩は命の次に大切な体の一部。
さすがの俺も、堪忍袋の緒が切れた様だ。
低い声で言う。
「てめぇ、怪我したらどうすんだよ……」
「え?」
力任せに、先程から俺を罵倒する女子の一人の顔面に拳を打ち込む。
飛び散る僅かな唾液と血。

