前にも、沙耶子を担いで保健室に行った事があったなぁ。
あの頃は楽しかった。
いつから、俺達の日常は変わってしまったのだろう。
保健室のベットに沙耶子を寝かせた。
幸い、先生はいない様で、面倒な事にはならなかった。
しかし、この事は学校側に報告するべきだ。
俺が彼女達に怒鳴り付けても、おそらく虐めは終わらないのだから。
立ち去ろうとする俺を、弱々しくて細い声が呼び止める。
「待って……」
振り向くと、沙耶子は立ち去ろうとする俺に手を伸ばしていた。
その手を、俺は両手で握る。
「ねぇ……どうして、美咲ちゃんは……私を虐めるのかなぁ……。私が、光圀先輩に告白されたから? それとも、私が気味悪いからかなぁ……。もう、文化祭の頃には戻れないのかなぁ……」
沙耶子は今にも泣き出しそうな目で、俺を見ている。
「大丈夫。きっと、戻れる。お前に辛い想いはさせないから。だから、今はゆっくりと……おやすみ」
彼女の手を優しく置き、俺は保健室を後にした。
職員室へ行き、沙耶子のクラス担任へ、彼女に関する虐めの事を話した。
すると、担任はまるで興味がなさそうに「ああ、そうか。それじゃあ、きつく言っておくよ。他に用は?」
「いえ……特には……」
「そうか。じゃあ、早く出て行ってくれ。忙しいから」
渋々と職員室を出ると、数人の教員の声が職員室から聞こえた。
「それにしても、クラス内での問題も面倒なものですね。まったく、虐めだなんて。うちの学校にある訳ないのに」
「最近の子供は、ドラマやアニメの影響が強いですからね。まあ、しょうがないのではないでしょうか。それに、虐めが本当にあったとして、うちのクラスの宮久保さん。友人関係や社交性を見ても、あれほど虐められっ子として当てはまる生徒はいないと思うんです。だから、ある意味で良い経験なんじゃないですかねぇ。虐めというのは」
「そうですね。どうせ、卒業してしまえば、虐め自体が続く事は、そうありませんからね。まあ、時間が解決してくれるでしょう」
俺は悟った。
大人は役に立たない。
俺には親がいるが、いつ帰って来るかも分からない。
友人に言うにしても、蓮に迷惑は掛けたくない。
こうなったら、俺自身が動くしかない。
あの頃は楽しかった。
いつから、俺達の日常は変わってしまったのだろう。
保健室のベットに沙耶子を寝かせた。
幸い、先生はいない様で、面倒な事にはならなかった。
しかし、この事は学校側に報告するべきだ。
俺が彼女達に怒鳴り付けても、おそらく虐めは終わらないのだから。
立ち去ろうとする俺を、弱々しくて細い声が呼び止める。
「待って……」
振り向くと、沙耶子は立ち去ろうとする俺に手を伸ばしていた。
その手を、俺は両手で握る。
「ねぇ……どうして、美咲ちゃんは……私を虐めるのかなぁ……。私が、光圀先輩に告白されたから? それとも、私が気味悪いからかなぁ……。もう、文化祭の頃には戻れないのかなぁ……」
沙耶子は今にも泣き出しそうな目で、俺を見ている。
「大丈夫。きっと、戻れる。お前に辛い想いはさせないから。だから、今はゆっくりと……おやすみ」
彼女の手を優しく置き、俺は保健室を後にした。
職員室へ行き、沙耶子のクラス担任へ、彼女に関する虐めの事を話した。
すると、担任はまるで興味がなさそうに「ああ、そうか。それじゃあ、きつく言っておくよ。他に用は?」
「いえ……特には……」
「そうか。じゃあ、早く出て行ってくれ。忙しいから」
渋々と職員室を出ると、数人の教員の声が職員室から聞こえた。
「それにしても、クラス内での問題も面倒なものですね。まったく、虐めだなんて。うちの学校にある訳ないのに」
「最近の子供は、ドラマやアニメの影響が強いですからね。まあ、しょうがないのではないでしょうか。それに、虐めが本当にあったとして、うちのクラスの宮久保さん。友人関係や社交性を見ても、あれほど虐められっ子として当てはまる生徒はいないと思うんです。だから、ある意味で良い経験なんじゃないですかねぇ。虐めというのは」
「そうですね。どうせ、卒業してしまえば、虐め自体が続く事は、そうありませんからね。まあ、時間が解決してくれるでしょう」
俺は悟った。
大人は役に立たない。
俺には親がいるが、いつ帰って来るかも分からない。
友人に言うにしても、蓮に迷惑は掛けたくない。
こうなったら、俺自身が動くしかない。

