お婆さんを食堂に入れ、やれやれと袖口で額の汗を拭う。

今日はシーツの交換をする日だ。入所者が食堂に集まっている間に、やってしまわなければならない。


従業員のエレベーター使用は禁止されている為、階段を使う。

マジで肉体労働だ。就職してから、体重が5キロも落ちた。

2階に上がると、自分が受け持っている部屋のベッドからシーツを引きはがす。そして、直ぐにベッドメイク。

だいぶ要領を得てきたのか、最近はそんなに時間がかからなくなってきた。


腰を叩きながら廊下に出ると、交換したシーツを抱えて階段を下りる。

少々前が見えなくても大丈夫。階段の幅も高さも、すっかり身体が覚えて……ない!

そう思った瞬間、階段を踏み外した俺は勢い良く転がり落ちた。

そして、その勢いのまま踊り場まで落ちると正面の壁に激しく頭を打ち付け、目の前が真っ暗になり気を失ってしまった。