白い息。
小雪が舞い散る中、半袖で鼻歌を奏でる少女。

僕にだけ見える少女。

車から降りた若いカップルが、少女の後ろで一つになる。


あの日、僕達もあんな風に手をつないで歩くはずだった。

でも、僕が見たものは赤いライトと血痕。
白い足。
赤い手。
そこにいるはずの彼女が、いなくなった現実。


僕にしか見えない少女。
僕には見える少女。
少女には見えない僕。

僕はずっと。彼女を見詰めていく。
ずっと……