急激に闇に飲み込まれていく街並。自動車のライトの眩しさが増し、街灯が歩道を照らす。


 暗闇―――――

 子供の頃、暗い場所は霊界と繋がっていて、そこには幽霊がいると信じていた。

 夜の学校。
 夜道の向こう側。
 電灯の明かりが届かない廊下。
 自宅のトイレまでもが恐怖の対象だった。
 押し入れも・・・

 押し入れ?

 そう言えば、悪戯をしては叱られ、罰として押し入れに押し込まれた。散々泣いて、泣いて、泣いて。

 「押し入れのお姫様」
 なぜそんなモノを書いたのか全く記憶にないけど、そんなタイトルの詩を小学3年生の時に書いている。


 いつなのだろう。
 暗闇に沈む真実を暴いたのは。

 いつからだろう。
 夜、独りでトイレに行ける様になったのは。