「じゃあ、今週日曜日の探検は竜王山の防空壕で決まり。懐中電灯は各自持参。あ、あと弁当もね」

 水曜日の放課後、物理室は我が探検部の会議室と化す。
 総勢7名の探検部は、探検とは名ばかりの野山や史跡を散策するクラブだ。

「一応、土曜日に下見に行っておくか・・・」

 3年生が引退し、部長の座が俺に回ってきた。下見に行ったり準備をしたり、部長は雑用係と言い換えた方が良い。


「アッちゃん、下見、付き合おうか?」
「ん、いや、1人で大丈夫だ」

 声を掛けてきたのは、幼なじみで同級生の敦子。同じ探検部に所属している。

「アッちゃん帰ろう」
「あ、すぐ行く。じゃあね、アッちゃん」

 敦志(アツシ)の俺と同じ呼ばれ方で、かなり紛らわしい。