あの人ではない。

 そんな事は分かっている。
 そんな事は、僕自身が一番分かっている。
 それでも僕は、その日以来、毎日遠回りをして川澄橋を通る様になった。

 毎日、その少女は同じ場所で、同じ様に川面を見詰めていた。
 

 僕はずっと後悔していた。
 この3年間、ずっと後悔していた。

 叶うはずがない恋だったけど、それでも、あの人に想いを伝えたかった。玉砕すれば良かった。そうすれば、きっと綺麗な思い出になったはずだ。

 告白できなかった想いを、僕は一生引き摺っていくに違いない。


 簡単な事だったのに。
 あの頃の僕に、ほんの少しの勇気があれば良かったんだ。