「笑っちゃうけど、笑えないけど・・・
 僕は、この橋に毎日立っている人が好きになってしまったんだ。でも、相手は高校生だし、自分はまだ中学生だし、何も出来なくて、何も出来るはずがなくて・・・」

「うん」

 そう頷く神原さんの姿が、少し薄くなった様な気がした。

 こんな告白なんか止めてしまおう。そうすればいつだって会えるし、僕だけの―――――


 いや、ダメだ。


「ずっと、ずっと、引っ越しても、あれから3年が過ぎても、全然忘れられなくて。想いを伝えられなかった事が、ずっと悔しくて、苦しくて。

 でも、それも今日で・・・・・」


 景色が滲む。
 目頭が熱い。
 声が出ない。
 しっかりと覚えておきたいのに、それなのに、神原さんの顔が見えない。

 ああ、ダメだ。


 両方のシャツの袖で交互に目を拭き、無理矢理に笑顔を作る。
 多分、笑顔になってたはずだ。