駅前


「何?

あの人ごみ…」

圭が言う。


駅前は大勢の人ごみ。


「スピーカーがここにある。

何かやってんのか?」

人ごみの最後尾に近い場所のスピーカーを見る。

「テナが居たら空飛んで見てもらえるのに。」

圭が言う。

「そう言えばテナは?」

幸大が言う。

「学校ではいつも別行動だから。」


「それよりも、皆さんの様子がおかしいですよ。」

奈々が言う。

「これはいったい?

可鈴も同じような様子だったが…」

翡翠が話してる最中にスピーカーから音楽がなった。


「なんつー大音量だ?


何かのライブか?」


幸大が大きな声で話す。

「知らないわよ。」

圭が言う。



歌が始まった。


「うっ!

…ゲホッ!」

圭が咳き込みしゃがみこむ。


「どうした!?」

「気持ち悪く…」

「幸大、一度下がろう。

奈々!」

翡翠が呼び掛ける。

「…。」

奈々は無反応。

他の人と同じような様子。


「奈々まで!?

翡翠、下がれ。

圭は俺がつれていく。」





幸大たちは下がる。



「ここ辺りは大丈夫みたい…」

圭が言う。

「翡翠、今のは…」

「ああ。

歌声に妖気が混じっている。

歌っているのはおそらく鬼だ。」
翡翠が言う。