『ちょっと、幸大は何してんのよ。』

ぶわっ。

風が吹いた。

『聞いてんの!?』


「…。

魔法とは見事だと私は思う。」

『え?』

「とにかく、迎えを頼む。」


翡翠が携帯を閉じると、再び屋敷のあった場所を見る。

そこには一面に綺麗な花が咲き誇っていた。


「幸大、これは…」

「この土地にはかなりのエネルギーがあった。

だがそのエネルギーは一定の量を越えると自然に吐き出されるはずだった。

しかし、ここに家をたてることでエネルギーが吐き出されることなく土地にたまった。


土地にたまったエネルギーを土地神が受け続け、抑えきれずに今回のようなことが起きた。



仮説だがな。」

「花を咲かせた理由は?」

「この土地にはまだ土地神が吸収仕切れなかったエネルギーがあった。

このまま放っておいたらまた似たようなことが起こる。

だから土地に残った余分なエネルギーを使って魔法をかける。

そうすりゃ、残ったエネルギーは必要な分と、あとは自然に吐き出される量だけ。


まぁ、調整ってとこだ。」


「…。

今回は本当にすまなかったな。

迷惑ばかりで、足手まといだった…」

「まったくだ。

これは貸しにしとくからな。」

「…ああ。」

「ほれ、お土産だ。」

幸大が渡したのは一輪の花。