年も明け、1月中旬僕らは会いました。
もちろん、僕らと言うのは、
・・・僕と雛です。
弥生がくるはずだったのに、何があったのか雛に変わっていました。薫に騙されたのかとも思いました。
仕方ないので僕らはデパートの広場らしきところで、お茶を飲みました。
「ねえ、竜~。あんた毎日何してんの?一人暮らし?」
雛からの質問です。
「まあ適当にな。一人でのんびりしてるよ。」
「ふ~ん、暇そうだね~、引きこもりか・・」
「大きなお世話だ。仕事してるっつうの。」
「ねえ、どうする?」
雛は僕に聞いてきました。
「何が?」
「何がって・・私たち。付き合ってみる?」
「付き合うって・・、お前おれのこと好きなの?」
「いや、別に」
ここで沈黙がありました。
「じゃあさ、好きになるように芸の一つでも見せてよ」
「はあ?」
「特技よ、特技!一つ、なんか見せてくれたらさ、好きになってやってもいいよ」
「・・・結構です」
「な~んだ、あいかわらずつまんない男ね」
この女・・
「じゃあ、あたしが見せてあげるよ」
そう言うと、雛は自分のバッグから弁当箱をとりだしました。
「じゃ~ん、どうこれ?美味しそうじゃない?」
「・・・なにこれ」
「何って・・作ってきてあげたんでしょう。ほら、食べてごらんよ」
僕は恐る恐る雛の作ってきてくれた弁当をつまんだんです。
なんか雛のペースにもっていかれそうなのが嫌でした。
「あれ?美味いじゃん」
「だろ!」
「だろって・・、もうちょい女らしくならないと彼氏できねーんじゃね?」
「女らしくって何よ?定義を述べよ」
雛は面白半分に言いました。なんだか雛は一人楽しそうだったんです。
「定義ね、男の一歩後ろを歩く。男に恥かかせないような言葉遣いを普段から。ガニマタ禁止、ミニスカート禁止・・くらいじゃね?」
「あんた・・古っ」
「はあ?」
僕はなぜ否定されなければならないのかと思いました。
「まあいいや、また今度会おうぜっ」
僕が弁当を食べ終わる頃、そう雛は言い、そんな感じで僕らはその日別れたのです。
まあ、意味のない時間ですね。

僕はその夜、ノートを開きました。