アイシテルのに




またどこかを見てる隼人に


「あ、あのっ。2人っきりにしてあげないですか?」


こそっと言うと、初めて目が合った。


―――少し切れ長な目にあたしが映る。
あたしの周りにいないタイプで、戸惑う。



「ああ、だな」

おっ。意外とすんなりと納得してくれた。

「じゃあ、出よっか」


2人同時に立ち上がり、咲と裕也くんの視線があたし達に向けられる。


「どうしたー?」
「帰るわ」

隼人が即答する。
ほんとに口数が少ないんだな…。



「ごめんね、バイトあるから…。ばいばい!」


咲は口パクで、ありがとうって言った。



店から出ると、隼人から話しかけてきた。
話しかけてくることもあるんだ…と感心。


「どうすんの?」

「えっと…何も考えてないけど…」


あたしはもごもごと言う。
ふつうに帰るしか頭にないし…。



「じゃ、帰るか。じゃあな」

「えっ、あ、うん。ばいばい」



まさかのふつうの答え。

クールすぎるな、隼人って人は。




あたし達は反対方向に帰って行った。