「は…意味分かんね…」
戸惑いを隠せない僕は、瞬きさえせずに、百合を目に焼き付ける。
でも、百合はどこか、歪んでいる。
僕の瞳の潤いに交えて、歪んでくる。
「だから、本当にさよならよ?だから、最後にヤろうと思っていたのに」
本当に僕と君には、『恋愛』はなかった。
もし、僕と君とが赤い糸で結ばれていたなら、それは、紅い糸であって、赤い糸じゃない。
赤い糸よりもっと濃い…。
『紅』と言う、血からしか成り立たない、糸。
いくら愛してると言ったて、君に伝わることはない。
いっそなら、叫べば良かった。
『百合のことが好きだ』と。
愛してる。と言えば良かった。
「さよなら」
そして百合は、僕を通りこして、屋上を去る。