机を片付けて、布団を敷いた。もちろん、奈緒の家には、布団は一組しかないので、一緒の布団。

「なぁ、奈緒」

奈緒の方を向く。

「うん?」

少し、眠そうな顔をしていた。

「奈緒って、一人っ子?」

「なんで??」

「んー、なんか、甘え上手な感じがしたから、かな」

「甘え上手、とな」

「まぁ、天然なんかもしれんけど」

笑いながら言ってみた。

「天然って失礼な」

「ごめんごめん」

そっと、奈緒の体を抱きしめた。


暫くの沈黙のあと、奈緒が口を開いた。

「正解やで、私は一人っ子」

「やっぱり」

「でも、甘え上手かどうかは知らん」

「えー?小さい頃から、よう物とか買ってもらってたやろ、特にお父さん」

苦笑いする奈緒。

「だって、俺が父親やったら、絶対になんでも買ってやったわ。こんなに可愛い娘やったら」

「そうかな」

「そうやって」

力を込めて断言した。


「そうやったら、うれしいな」

ふふっと奈緒が笑った。
…そうやったら?どういう意味や?


「奈緒?」

「明日は早起きしやなあかんし、もう寝よう?ね?」

そう言うと、軽くキスをしてきた。

「おやすみ」

その時の奈緒の表情は笑ってたけど、どこか、悲しげだった。