奈緒を抱き起こして、ぎゅっと抱きしめた。
顔は見ない。見ればもう、たぶん、とまらない。
そう思った。

「その、格好でおられたら、さすがにその、俺でも我慢できんというか」

はぁ、と深呼吸をする

「服を、着てくれんかな」

奈緒がこくこく、頷いたのがわかった。

「あの、その。目を瞑っててもらっていい?」

うん、と頷いて、目を瞑った。
奈緒がそっと離れる。
服のすれる音がした。
ただそれだけなのに、それだけなのに、なぜか心臓がどきどきした。

俺、こんなにむっつりやったんか・・・・

「もう、大丈夫」

目を開けると、パジャマを着た奈緒の姿があった。

「あはは、えっと、髪、乾かすね」

ドライヤーを取り出して、髪を乾かし始めた。
後ろからそっと、奈緒に抱きつく。

「ごめんな」

「ん?」

「その、さっき」

「・・・・・・」

「急にあんなことされて、嫌やった?」

髪を乾かす手が止まった。

「奈緒のこと、傷つけるつもりはなかったんやけど、その。つい、奈緒が、色っぽくって、勝手に体が動いたというか、なんていうか」

必死で言い訳をしていると、奈緒が首を横にふった。

「嫌じゃ・・・・ない、よ?」



顔は決してこっちに見せない。
だけど、奈緒の耳は真っ赤になっていた。