泉のマンションには、すぐに着いた。2・3分たったくらいに、泉もすぐに到着した。

「お待たせ」

ううん、と、頭を横に振る。泉の顔を見ると、なんだかほっとした。
オートロックをあけて、中に入る。今朝もきたはずなのに、ずいぶんと久しぶりな感じがする。初めてきたのだって、つい最近なのに。

玄関を開けて、中に入る。

靴を脱いで、リビングへと入った。くるりと泉の方を向いて、一言、お帰り。と言った。泉も、ただいま。と短く答えた。

「今日の舞台、面白かったよ」

なんだか少し、ぎこちない。
泉がコーヒーを入れてくれた。

「ありがとう。あ、あのさ・・・」

「ん?」

泉が少し、言いづらそうにしている。

「高松さんのこと、どう思ってる?」

なんでそんなことを聞くのかと、首をかしげた。

「あの、ほら。打ち上げのときに、なんか、高松さんと、その。楽しそうやったから」

寂しそうな顔をしながら、見つめてきた。

「高松さんの方がいい?」

泉に聞かれて、少し切なくなった。

「私、がんばって声はったのにぃ」

はぁ、とため息をついてみた。
泉は少し、変な顔をしていた。

「私、ちゃんとみんなの前で、大事な彼氏がいるっていうたんよ?」

へ?と間の抜けた顔をする泉。

「泉君と付き合ってるっていうのは言うたらあかんかな?って思って言うてないけど。でも、ちゃんとみんなに、高松さんと付き合ってるのか聞かれて、付き合ってないって。私には大事な彼氏がおるって言うた」

へへ、と少し照れながら言うと、泉が抱きついてきた。

「なぁ、奈緒?今日、帰らんとあかん?」