ぷくーっと頬を膨らませてすねる高松。

「すねてもしらん」

深々と、頭を下げてお礼を言った。

「すいません。ホントに。今日はしっかり堪能させてもらいます!」

いえいえ、こちらこそ。と、マネージャーも頭を下げた。

「それじゃ、出番までゆっくりしててください」

にっこり笑って、マネージャーは出て行った。

いや、私も一緒に、と思って出て行こうとしたときだった。

「この子やこの子!」

高瀬が思い出したように叫ぶ。

「な、なんですか?」

びっくりして、高瀬の方を向くと、うんうん、と、1人で頷いていた。

「昨日、高松にナンパされてへんかった?」

言われて、はぁ。と頷いた。

「じゃ、この子がお前をふったこや!」

「うるさい!」

高瀬に言われて、顔が真っ赤になる、高松。

・・・何この人、めっちゃ可愛い。
しかも、おもろい・・・

「ぶふ!あ、あはははは!」

ずっと、ニコニコ笑ってるとか、そんな表情しか、見たことがなかった。
そんな高松が、顔が真っ赤になった!
さっき、車であんなにくさい台詞をいわれたときですら、平然と言ってたのに!

「おっかしー、あはは、あっはははは!」

目に涙を溜めながら笑った。

「あはは、あは。あはは。おなかいたーい」

高松は、ふっと優しい顔で、奈緒を見つめた。
その高松の顔を見て、高瀬もふっと、笑った。