「いつ頃ですか!?」

「いや、ほんの10分くらい前かな。具合でも悪いのかと思って声かけようと思ったら、なんと!ピースの高松さんがその子に声かけててさ」

なんで、高松さんがでてくるんだ!?

「高松さんに付き添われて、少し前に出て行ってたけど」

「どこに行ったか、分かりませんか?」

「さぁ、そこまではちょっと」

「そうですか…ありがとうございました!」

すれ違いになった。もう少し早く家を出てたら。
いや、そんなことより、ちゃんと俺が、遅刻せずに起きていれば。

後悔先に立たず。

自分が嫌になってきた。

とりあえず、1Fに戻ってみた。辺りを見回してみるが、奈緒の姿はなかった。
何度電話をかけてみても、電源が入っていない。そのアナウンスが繰り返し流れるだけだった。

「・・・・・・奈緒!」

もしかしたらと思い、堺にかけてみる。

『・・・もしもし、どうした』

「悪い、そっちに奈緒、行ってねーか?」

『いや。今、明日香の家やけどきてねー。連絡取れへんのか?』

「ああ、携帯がつながらねーんだよ」

嫌な予感がする。
思いがけない人の名前が出たことで、自分の心がかき乱される。

『だめや、明日香にかけてもらったけど圏外みたいや』

「そっか。あぁ・・・・・・どうしよう、俺、俺!」

動揺してどうすればいいのか分からなくなる。

『とにかく、すぐにそっちに向かうからちょっと待ってろ。今どこや』

「パークスの1Fの入り口に」

『分かった、すぐ行く』

プチっと電話が切れた。