まつたかが、ソファから立ち上がった。

「奈美!?」

言われて、高松も、奈緒も、え?という表情になった。その顔を見て、まつたかははっとして、そのままリビングから出て行った。

「奈美?」

高松がボソッと言った。

「・・・お母さん・・・?」

奈緒の一言に、高松はえ?と聞き返され、はっと我に返った。


高松の部屋へと案内された。部屋に入ったとき、高松から、実家につれてこられた本当に理由を教えてもらった。

「親父の様子がおかしかったんや。どうも、奈緒のことでなんか気にしてた見たいやったからな。それで、奈緒にうちまで来てもろたんや」

「そう、やったんですか」

うーん、とうなりながら、ベッドの上にちょこん、と座った。

「でも、何でお母さんの名前、知ってたんやろ。ね、どう思います?」

下から見上げる形で、高松の顔を見た。

「そうやな・・・」

高松がそばに来て、髪の毛を指に絡めた。

「綺麗や・・・」

「た、高松さん?」

ベッドから立ち上がろうとしたが、体の横に手をつかれ、そのまま押し倒されるような形で、ベッドの倒れこんでしまった。

「何でこんなに気になるんか、正直わからん。俺の好みは、年上の、綺麗なお姉さん、やってんけどな」

そう言うと、頬をつぅっと撫でてきた。

「奈緒に会ってから、ほんまに、俺には奈緒しか見えんようになった」

ぽすっと肩に顔をうずめてきた。

「奈緒は今、彼氏と一緒におって幸せか?」

聞かれて、小さく頷いた。

「そっか。・・・そんな気はしててん。泣いてなかったし」

「あはは、いつも、高松さんには助けてもらってたし、泣いてるとこ、見せちゃってたし」

「いや・・・」


そう言うと、ぎゅっと抱きしめてきた。