「ただいま」

「あら、おかえりなさい」

パタパタと奥から走ってくる音が聞こえた。義母さんだ。

「珍しいわね」

にっこり笑って聞いてくる。父親、高松まつたかの2番目の妻だ。1人目は俺の母さん。離婚して、2人目(今の)と再婚した。優しい、いい人だ。

「ちょっとね。親父は?」

聞くと、リビングを指差した。

「ありがとう」

そう言って、リビングへと向かった。


「ただいま」

リビングに入ると、60歳くらいの男性が、ソファに座っていた。手には週刊誌を持っていた。

「お帰り。急に悪かったな」

「いや。それで?話って」

聞くと、少し言いづらそうにする。

「・・・今朝の、ニュースを見たよ」

「――――あぁ」

「その、お前と、その子は、どういう関係、なんだ?」

聞かれて眉をひそめた。

「どういう関係って?」

「いや、お前がそうやって、誰かを気遣ったりするのは珍しいなぁと思って」

歯切れが悪そうに言う。

「別に?そんなに気にすることでもないだろ」

「あぁ・・・その、お前はその子のこと、好きなのか?」

「それがなにか?」

「好きなのか?」

まつたかが、真剣な顔で聞いてくる。

「・・・好きだけど、それが何か?」

深いため息をついて、そのままリビングを後にした。