時計を見ると、時刻はすでに12時を回っていた。

「なんか、おなか減ってきたな・・・」

どうしたもんかと、そっと、泉の家の冷蔵庫をのぞいてみた。

「・・・ビールしかない」

後はおつまみのようなものと、卵くらい。

「つかえねぇ・・・」

ボソッと言ったつもりだったが、九条には聞こえていたらしく、くすくすっと笑っていた。

「自分の彼氏捕まえて、使えないってひどいなぁ。しかも、相手はあの、たなぼたの泉さんやろ?全国、どこを探したって、そんなこという子おらんで」

「えぇ?そうかなぁ・・・いや、1人、私の友達なら言いそうなのがいる」

明日香のことを思い浮かべた。

「へぇ、そんな子がおるの?すごいな」

感心したように、目を見開いた。
明日香なら、やるな。
そう思って、うん。と頷いた。

「しっかし、何にもないとなると、お昼どうしようか」

ふむ、と腕を組んで頭をひねる九条と奈緒。

「よし、私、なんかコンビニで買ってくるよ。なにがいい?」

「えぇ!?そんな、悪いし」

「いいって。だって、奈緒ちゃんは家から出られへんし、何より、鍵。もらってないんやろ?」

言われて、言葉に詰まった。

「ほら。このマンションのすぐそばに、コンビニあったし。ちょちょっと行って、買ってすぐに帰ってくるって」

九条はそう言って、笑ってみせた。

「うーん・・・ほんと、すいません。それじゃ、おにぎりとカップめん、何かお願いしてもいいですか?」

いうと、九条はOKと言って、パタパタと出て行った。