ラフ

「･･･わかりました。その代わり、警護にあたるのは、もちろん女性の方ですよね？」

「はい？」

「さすがに、奈緒と2人っきりになることが多くなるのがわかってるんです。女性の方ですよね？」

そう言うと、2人は少し笑いながら答えた。

「ええ、ご心配なさらず。そちらへは、柔道の有段者の婦人警官を、警護につけますから」

なら、と、泉はほっと胸をなでおろした。

「では、とりあえず、本日は1日、ここでいてください。移動の準備ができましたら、再度伺います」

「はい。あ、すいません。会社へ休みの連絡を入れたいんですが、その。ことが個となだけに、できれば、刑事さんから、課長へ事情を説明していただけないですか？できれば、その、狙われている理由は伏せて･･･」

恐る恐る聞いてみると、かまいませんよ、と返事が返ってきた。
時計はまだ8時前。課長がいつも出勤する時間を考えると、まだ家を出ていないかも知れない。つながるかな？と不安に思いながら電話すると、課長が電話に出た。

『はい、石川です』

「あ、おはようございます。伏見です」

『おー、おはよう。どうした？こんな朝早くから』

「すみません、実はちょっと、事件があって。警察の方に代わります」

言って、今里に携帯を渡した。

「もしもし、私、南警察署の、今里と申します。実は･･･」

いきさつをうまく話してくれた。
数分、話をした後、携帯をまた返してくれた。

「はい、事情は説明しておきました」

「すみません」

携帯を受け取って、電話にでる。

「あ、もしもし」

『もしもし、伏見さん？なんかえらいことになってんなぁ。まぁ、危ない見たいやから、落ち着くまで、体調不良で、みんなには伝えておくわ。また、なにかあったら連絡して』

「はい、わかりました。ご迷惑をおかけして、すみません」

『いやいや、気にせず。気をつけて』

「はい。失礼します」