「確かにすぐに削除されました。しかし、すぐといっても、あのとき、かなり話題になっていた話でしたので、見た方は相当いらっしゃったんでしょう」

そういえば、同僚のうちの1人も、写真を見たと言っていた。

「関連の掲示板を、すべて閉鎖するように、管理人へ連絡を入れていたそうなのですが、消しても消しても、すぐにまた、同じような内容の書き込みがされていっていたそうです」

苦々しい顔をする桜橋。

「そして、今朝のことでした。本庁の、サイバー犯罪対策課から、連絡が入ってきたんです。ここの住所と、あなたの容姿の特徴が、掲示板に載っていて、今から殺すと書いてあったと」

怖くなって、泉の手をぎゅっと握った。

「その知らせを受けて、あわててここへ駆けつけたところ、ちょうど、一人の女性が、ナイフを持った犯人に襲われていました。私たちの姿をみて、あわてて犯人は逃げていきましたが、まだ、残念ながら、捕まえられていません」

「そんな・・・・あの、その、被害にあわれた方は、大丈夫なんですか?」

自分と間違えられて、そんな被害にあったなんて、いくらなんでも寝覚めが悪すぎる。

「ええ、腕に軽く切り傷ができた程度の、軽症ですんでいます。すぐに病院にもつれていって、手当てしてありますから、大丈夫でしょう」

ほっと一安心した。

「ただ、まだ、あなたのことを、犯人が狙っている可能性があります。できれば、外出は控えたほうがいい」

「それから、あなたの住所を知っていて、なおかつ、日曜日に高松さんと遊んでいたのがあなただと知っている人物を、すべて教えてほしいのですが」

「え?」

「念のため、すべての可能性を確認しなくてはいけませんから」