朝、マンションの周りがなんだか騒がしくて、目が覚めた。

「・・・なに、なんかうるさい」

起きて、ベランダに出てみると、マンションの下に、たくさんのカメラマンや、リポーターの人だかりができていた。

「なに、あれ」

あわてて部屋の中に入った。
―――――もしかして、泉がいるのがばれた!?

急いでテレビの電源を入れて、泉を起こした。

「ねぇ、泉君、起きて。起きてってば!」

「・・・なに?まだ眠い・・・」

「起きてって。なんでか、マンションの下に、リポーターみたいな人がいっぱいおるんよ!」

そう言うと、泉の動きが一瞬とまった。

「リポーター?」

こくん、と頷いた。

テレビのチャンネルをいくつかまわすと、ちょうど、見覚えのあるマンションが、テレビに映っていた。

「・・・ここのマンションや」

なんで映っているのか、さっぱりわからない。すると、信じられないことを、リポーターの人が言い出した。


『えー、私の今ここにいるマンションで、殺人未遂がありました』

殺人未遂!?
驚くと同時に、部屋のベルがなった。
あわてて玄関へ行く。ドアの覗き窓から外を覗いてみると、スーツ姿の男の人が2人立っていた。ドアにチェーンをかけて、鍵をあけて、少しだけドアを開けた。
すると、警察手帳を男の人が見せてきた。

「あ、すいません。南警察のものですが。えー、伏見奈緒さん、で間違いないですか?」

聞かれて、はぁ、と頷く。

「私は、桜橋、こっちは今里です」

「突然ですいませんが、少し、お話をうかがわせていただいてもよろしいですか?」

「あの・・・今、テレビで殺人未遂がどうとかって言ってましたけど、もしかしてその件ですか?」

警察の2人は頷いた。

「なんで、私に?特に何か聞いたりとか、見たりとかしてないと思うんですけど」

そう言うと、桜橋は首を横にふった。

「いえ、そうではなく、ですね。今回、事件にあわれた方は、あなたと間違えられて、殺されかけたんです」