「できたよ〜!おとうさん、運ぶの手伝える?」 次の瞬間台所からそう叫ぶ真琴の声に、俺たちははっとした。 そして親父さんは俺と視線を合わせながらゆっくりと立ち上がり、そっとつぶやく。 「真琴ちゃんは幸せ者だ。…よろしく頼むよ」 ―――そのあと、俺たちは三人で食卓を囲んだ。 この家には、俺が味わってこなかった温かさがある。 俺の憧れていたものがある。 また三人で、こんな時間を過ごしたかった。 …でもそれは叶わない願いになってしまった。