―――消毒液のにおいに無機質な白い壁。 何回来ても慣れないこの独特な空間に、私は一気に重苦しい気持ちになった。 …こんなんじゃだめだね。 自分をそう奮い立たせた私は、病室の扉を静かに開けた。 「おとうさん、…起きてる?」 白いベッドに横たわっていたのは、優しい眼差しで私を見つめている義理の父。 私が大学生の頃に亡くなった母と再婚した人だ。