その瞳に吸い込まれそうになりながらも、私は小さく頷いた。 「―――初めてなんだ」 それだけ言うと、しばらく波をじっと見つめる篠宮さん。 私は続きが気になったけど、催促なんかしてはいけないような気がしてそのまま黙っていた。 「…自分から誰かに近づくのも、自分のことを話したいのも。………俺に近づく奴は皆そんなものを求めちゃいなくて、俺の上っ面だけを見ているから」