義父のことを考えると、やっぱり今でも泣きたくなるしそんなこと考えたくない。 …でも、この人がいなかったらもっとつらいはず。 「…ありがとうございます」 『は?』 「篠宮さんがいなかったら、もっとつらかった気がします」 私がそう言うと、電話の向こうで篠宮さんは一瞬押し黙った。 そして咳払いをしたあとまた口を開く。 『………明日休みだろう。親父さんのところに行ってからでもかまわないから、どっか行かないか?』