もう頼まない! あんな人にはもう頼まない!! タクシーを拾って家に帰る途中、私はずっとそれだけ考えていた。 その間も家に帰ってからも、携帯には着信履歴が増えるばかり。 “篠宮誓”の名前がディスプレイに表示されるたびに私はさっきのキスを思い出してしまうから、落ち着きたくても落ち着けない。 ………あぁ、もう! 「…はい」