「―――お久しぶりです、おとうさん」 「真琴ちゃん…に篠宮さんまで。わざわざありがとうね」 あれから程なくして、私たちは病院に到着した。 そして今、私は篠宮さんと義父の会話を病室の端で手を動かしながら聞いている。 …さっきまで私にあんなことしておいて、よく普通にしゃべれるもんだわ。 そう思った瞬間さっきのことを思い出してしまい、私は頬を赤らめた。 ―――私の髪を撫でる指とその手の温かさ。 緊張して眠るなんて無理だったけど、なんだか安心して身を委ねることができたから。