そう言う言葉も、私の耳には入ってこなかった。 「………すみません、帰ります」 そう言うのが精一杯で、私はすぐに歩き出す。 すると彼は私の行方を遮るように私の腕を掴んだ。 「なんのつもりだよ。…どこ行くんだ?」 「―――お願いですから離してください!そんなに気になるならついてきていただいてかまいませんから」 彼の手を振り払いながら私はそう言って、大通りの方に出ようとした。