孤独な花と孤高の王子

ディスプレイに表示された名前に、私はすぐ電話に出た。



「―――はい！…えっ？………はい、それでは今すぐ向かいます」


目の前にいる人を無視して私は電話に出た。


彼はなにか言っているようだけど、私の耳に届くのは電話の向こうの声だけ。
………冷静にならなきゃならないのに、電話を握る手には汗が広がっていく。






電話は用件のみですぐに消えた。
電話を終えた瞬間に、彼は苛々したような声を上げる。



「………いい度胸だな、俺を目の前にして許可も取らないで電話なんか出やがって」