必死にボールを追いかけている矢野くんは、輝いていた。


時折見せる笑顔に一瞬、ドキッとしてしまった。



「風見?風見、おい、風見!」



「えっ、あ、ごめん」

ずっと後ろから呼んでいる声に気づかなかった。


「絆創膏ねぇ?」

そう言って、指を見せてきたのは、恵くんだった。


「ちょっと待って」

すぐに救急箱から絆創膏を取り出した。


「サンキュ。おまえさ~、翔のことずっと見てたろ?」

絆創膏を貼ってあげていると、ニヤッと笑いながら恵くんが言った。


「えっ、なっ…」

顔が真っ赤になるのが分かった。


「顔真っ赤、素直だな」

恵くんは笑っていた。