『不安にさせたのも、寂しくさせたのも、全部私のせいだよね。もう迷惑かけないから、彼女のこと大事にしてあげて。』


言われなくても、もうずっと大事にしてるよ。

夏波を愛おしいと思う気持ちが心の中いっぱいに広がって苦しかった。



『それに、生徒だとか関係ないと思う。大人になればそれくらいの年齢差なんてよくある話だよ。実際私も旦那さんと10歳離れてるし。』

「そうか。初めて瑠未の言葉で気持ち軽くなったわ。」

『何それ、失礼。』


そう笑い合うと大学時代に戻ったような錯覚を覚えるけれど、今ここに居るのは紛れもない大人になった俺たちだ。



『私も不安だったのかな。』


笑顔の延長線上で、瑠未が吹っ切れたように言う。



『旦那さん普通に凄いカメラマンだからさ。私よりずっと綺麗な人たち相手に毎日仕事してるわけだし、私のことなんてすぐどうでもよくなるんじゃないかって不安だった。』


仕事が増えるだろうという打算も、自分に相応しい相手という気持ちも、瑠未にはなかったのかもしれない。

ただ、その人のことが好きなんだ。